5年前、しまんとジャーナル44でご紹介した “船のような家”。
四万十川の流れに寄り添うように建ち、風を受け、光を受けながら、静かにその場に漂うような佇まいが印象的でした。
久しぶりに現地を訪れる機会があり、あの日から積み重なった時間を確かめるように建物を眺めてみると、焼杉の外壁は色合いがやわらかく変化し、より周辺の自然に溶け込む落ち着いた表情へと育っていました。
“経年劣化”ではなく、“経年美化”。
自然素材だからこそ味わえる、本物ならではの変化が、建物と環境の距離をさらに近づけているように感じます。
建築は図面だけでは完結しません。
完成した瞬間から、四季の移ろいとともに風景の一部になり、そこに吹く風や射す光、川の音、土地の気配に育てられていきます。
日本の原風景の上に成り立つ“建築”とは、本来こうした時間軸の中で深みを帯びていくべきものなのかもしれません。
四万十という豊かな風土の中で、素材が変化し、佇まいが整い、建物が風景に馴染んでいく様子を目の前にすると、改めて「時を味方にする建築」の尊さを実感します。
あれから5年。
建築は、時間とともにより美しくなる——。
そのことを静かに教えてくれる、印象深い一日となりました。
竣工時の写真

完成から5年後





完成時のインタビュー記事はコチラ。
設計
高知県高知市和泉町2-8 レトロワ102
tel. 088-823-4890
mail / info@fukeisha.com
施工会社
高知県四万十市具同田黒2丁目3-25
フリーコール:0880-37-2369
運営 / 有限会社ササハラ鉄骨







